ー草 茅 危 言ー
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「自問自答の訓」 野村 秋介
常に俗世にありてその一隅を照らし 常に在野にありて権力悪と闘い
常に人を愛し共に涙を流し 常に海を愛し空を愛し神を敬い
常に友情と信義を胸中に熱く燃えて 常に名利を求めず正義を追い
常に月を愛し酒を愛し女を愛し 常に自由にして奔放であり
常に一剣を懐中にして平天下を願う
*我が崇拝する野村秋介氏の含蓄のある訓(おしえ)である。
我輩の経験していない特異な人生を生き、最後は己の意志で大義の為に己の生に決着をつけた大人(たいじん)の思考はすばらしい真実の言葉である。
「小売業の本質」
より良い品質の商品をより安くお客さんに提供することは小売業の大事な要件であることは間違いない事実であるが、小売業の本質ではない。
この本質と大事な要件を混同すると経営の舵取りを誤ることになる。
小売業の本質はサービスであり、奉仕の心である。
即ちお客さんの立場で、お客さんが希望し期待し想像している最高のサービスを如何に提供するかである。
より安くより良質な品を集めるには仕入先のメーカーや卸業者の協力が絶対条件であるが最高のサービスは売り手サイドだけの努力と工夫で可能である。
安売り競争はより安い商品を買い集める力を失くした時に打つ手が無いが、サービス競争には限界も制約もないし、やる気と実践が全てである。
2002年6月21日 毘沙門 T

「地に落ちた自民党の真紀子処分」
田中真紀子に対する二年間の党活動停止処分は実質的な除名処分に等しく、マスコミ等の予想よりはるかに厳しい措置である。
処分と同時に田中に対する選挙区の支部長解任処置を見ても、宗男の場合は離党後も支部長に留任させていたことを考えると矛盾そのものである。
秘書の手当てを誤魔化してピンハネ分を議員の懐に入れるやり方は大部分の先生方が遣っていると言われている現状からすれば、全議員が身の潔白を証明するのが筋ではないかと思う。
田中のおばさんを庇う気は毛頭ないが、今回の自民党の処分は豚箱に入れられた宗男とのバランスを取る為の報復措置であることは明白である。
田中の異常な人気が多少落ち目になった頃合を見計らって更に追い討ちをかける姑息なやり方は政権政党の取るべき態度ではないし、相手は人気者かもしれないが"高が一人のおばちゃん"に目くじら立てて追い落しを図るなんぞ茶番以外の何ものでもない。
現在の最重要課題である景気対策に全力を尽くすのが政権政党の最大責務であるにも拘わらず、こんな下らぬことばかりにうつつをぬかしているようではこの国の再生は非常に厳しい。
「阿呆議員共に付ける薬は無い」と言うことか。
2002年6月24日 毘沙門 T

「創業経営者と番頭経営者の差異」
ダイエー創業者の中内とイトーヨーカ堂社長でセブンイレブン会長の鈴木は、かつてはライバル経営者としてスーパー業界のトップ争いを繰り広げた。
残念ながら中内がダイエーの経営に失敗して引退を余儀なくされたので鈴木が中内と同じ舞台で注目をあびることが無くなったが、元々鈴木は、創業者の伊藤名誉会長が総会屋がらみの事件で予想外の早期引退を強いられた緊急事態に対応する為に急遽番頭の中から選ばれたいわゆる番頭経営者の典型である。
経営の世界も下克上なるが故に勝てば官軍と言うことで、鈴木のこれまでの経営手法は全て正しくて逆に中内の経営理念は全部誤りであるとマスコミや評論家は喧伝しがちであるが果たして正当な評価なのであろうか。
我輩が敗北の経験者と言う理由だけで中内の肩を持つ積もりは毛頭ないが、結果だけでそこにいたる過程を評価したがらない国民性にも問題がある。
米国では例え法を犯しても刑罰に服して務めをはたせば社会は差別無く受け入れる土壌が育まれているのと同じように、企業経営の場合でも経営破綻した経営者が再建し易いようなある種の保護政策が準備されている。
例えば会社の負債に対して個人保証していても、経営者の自宅と最低の生活費は弁償の対象から外されて法的に保護されている。
故に米国ではベンチャー企業に挑む経営者が次々に名乗りをあげるし経済の活性化が持続可能になる。
そこで中内と鈴木の経営手法の最たる違いは、中内が店舗現場を常に自分の目で確認すべくどんなに忙しくても時間を作っては全国の店舗周りを最優先したのに、鈴木は店舗運営については店長や統括責任者に任せて自分は経営戦略の立案と実行及び経済動向の把握等に専念し店舗の視察は皆無の点である。
突き詰めればどちらのやり方も正しいと思うし、結果至上主義の日本的思考からすれば、中内流は駄目で鈴木流が正しいと言うことになるのであろうがそれ程簡単な問題ではなかろう。
ゼロから叩き上げ、一時的にせよ日本一の流通業を構築した中内には、ダイエーグループが自分の二つの目だけではとても把握しえない程巨大化しても創業時の中小企業魂が抜けきらずに思わぬ処で大道を誤ったたのかもしれない。
その点鈴木の方は一サラリーマンとして創業者の伊藤の信頼を得て引き立てられたので、己が大将になっても部下を信用して仕事を任せる処世術を自然に身に付けた差ではなかろうか。
2002年6月25日 毘沙門 T

「元気に生きる為の"御真言"・・自戒の念を込めて」
一)「女の一生」第三幕のセリフ 林 芙美子
「誰が選んでくれたのでもない自分で歩きだした道ですもの、間違いと知ったら自分で間違いでないようにしなくっちゃ。」
二)法句経
「他の作と不作を観るべからず。ただ、己の作と不作を観るべし。」
即ち、他人(人)が何をしたか、何をしなかったかを一切観るな。
自分が何をしたか、何をしなかっただけを観なさい。
三)仕事始めの訓
今日一日天職に向かって頑張ろう
今日一日仕事が出来ることを感謝しよう
今日一日マンネリを打破して工夫しよう
今日一日自分の為に仕事をしよう
今日一日生かされていることに感謝しよう
六十五年娑婆の空気を吸って生きてきて多少は歴史と先人に学び、遅まきながら凡人なりの人生観なるものが構築されてきたように感じている。
経営は規模の大小に拘わらず経営者の人生観の鏡であり生き様であると言うのが経営に対する我輩の持論である。
例えオーナー経営であろうと番頭経営であろうとサラリーマン経営であろうとその任に在る場合は期間の長短に拘わらず己の生き様を投影したものでなければ経営とは言い難い。
一度なりともその任に居たり、今その任に在る者は自問自答してみるのも無駄ではなかろう。
2002年6月25日 毘沙門 T

「韓国対ドイツ戦に見た韓国サポーターと国民の民族意識の向上と変化」
一日一日と高まった韓国国民の熱狂的なサッカーフィーバーの中で激突した対ドイツ戦で韓国が敗北した場合のシナリオを我輩なりに想像していた。
それは韓国の競技場はもとより全国の多くの屋外観戦場等のサポーターや観衆が日ごろの政治や経済界に対する不満の吐け口として、敗北をきっかけに一部の過激な不満分子に煽られて全国的に大混乱を生じるのではないかと危惧していたのである。
金大統領も競技場に応援に駆けつけていたが、二人の息子はワイロ容疑で逮捕されている状況に対して観衆は何を感じていたのであろうか。
激戦終了直後だけ全国民の間に如何にも残念と言う表情が満ちあふれていたが、次の瞬間に我輩の予想に反して彼らはまず代表ティームに対して感謝の気持ちを表し、次に彼らの健闘を心から称えると同時に来る三位決定戦への再度の奮闘を期待するエールを選手に送ったのである。
七百万の韓国人が観戦した中で、全国民が敗戦の悔しさを我慢して冷静に対処した行為は非常に素晴らしい民族の自覚である。
韓国民族の意識の向上はこの国をして全ての分野で我が国を凌駕しつつあり完全に肩を並べたと言える。
日本は未だにバブル崩壊の後遺症から脱しえずに不況に喘いでいるのに、韓国は早々と景気を回復し元気ずいていることも影響しているであろう。
今回のワールドサッカー共同開催を契機に今後両国民が政治、経済、文化、スポーツ等のあらゆる面で協力し、提携すれば最良の隣人として最強のパートナーシップを発揮できるであろう。
そうすれば目覚しい躍進ぶりで我が国にとっても最大の脅威となりつつある中国にとっても、我利我利亡者のロシアにとっても侮れない東アジアの強国になり得るであろう。
北方領土問題に関連してロシアとビザ無し交流を図る前に本当にやらねばならないのは隣国韓国とのビザ無し交流である。
日韓関係の全ての面で障壁を解除し更なる交流が活発化し本当の同盟国になることを心から期待する。
2002年6月27日 毘沙門 T

「韓国権力機構の不可思議」
先に書いたようにW杯サッカーでの隣国の活躍は驚異的であるが、大統領の任期が終わりに近ずくと必ず親族や取り巻きの汚職容疑が浮上し逮捕者が出る。
今回も金大統領の二人の息子が既に逮捕されているが、前大統領も退陣前に同じように賄賂の容疑で親族が司直の手に掛かったし、三代、四台前は共に軍人大統領であったが各々お縄頂戴して重刑を宣告されたが、後に政治的配慮から特赦で娑婆に復帰している。
政界が汚職まみれであることは日本も韓国も似たような状況であるが、両者の違いは大統領と首相に対する国民の意識の差であろうか。
金大中の場合は息子が逮捕されても未だ大統領の地位に留まっているが、もし小泉の息子が同じように汚職事件で逮捕されたら果たして首相は辞めなくて済むであろうかと言う点である。
多分国民も政界もマスコミも辞職を強く迫るであろうし、現実には小泉自らがただちに辞任するであろう。
この国民性の違いをどのように理解すればよいのか我輩には判らないが敢えて言えば直接国民から選ばれた大統領の地位の重みなのであろうか。
対戦後のサッカー場を若いサポーターが中心になって全員で清掃し塵を各自が持ち帰ったと報道していたが、国民の意識は確かに韓国民の方が上である。
「日本食品の税金詐取について」
先の狂牛病(BSE)対策で国が実施した国産牛肉買い上げ事業をめぐり、福岡市の食品メーカー「日本食品」が申請した牛肉122トンが、対象外の輸入牛のスジだったことが農水省の調査で判明した。
同省は偽装工作は会社ぐるみで行われたと見て同社を詐欺罪で刑事告訴する方針を固めた。詐取金額は壱億参千万以上というから大金である。
新聞によると同社は先に破綻した壽屋をメイン販売先にしていた関係で相当厳しい経営状態であったとのことだが、同じ食品関係を商っている我が「新鮮館」としても今回の事件を単なる他人ごととせず、今一度真剣な対応を心掛けるべきであろう。
商売は何がなんでも信用が第一。
信用維持に徹すれば場金は後からついてくる。
2002年6月29日 毘沙門 T
